特定非営利活動法人

国際理解教育センター

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Connect & Community 地域や地球とつながろう!

 

 

気づきから行動へ  Think Globally, Act Locally

  1972年、ストックホルムで開催された『国連環境会議』は環境問題の様相を一変させました。それまで公害問題は、大気汚染、水質汚濁、騒音問題など、ローカルな地域の住民だけに関わる問題だと捉えられてきました。しかし、ストックホルム会議に日本から水俣病の患者団体が参加したことで、チッソという企業が起こしている海洋汚染の問題は、一つの工場を汚染源とした点源ではあるが、その「点」は、わたしたちの生活や生産、産業、社会とつながって汚染を引き起こしているのだということが顕にされました。

 

 その後、別の地域でも同様の公害病の発生が見出される、あるいは汚染のひどい工場は、より環境規制の弱い途上国に移転するなど、「点」を移動させるだけでは解決にはならないことは明らかでした。

 

 日本でも1980年代に、四日市や綾瀬川など、凄まじい大気汚染、河川汚染はなくなりましたが、TBTやAF2、フロンなど、わたしたちの生活を便利にしてくれるけれども、環境や地球の生命にとって有毒有害である物質の「開発」と「規制」のいたちごっこのような時代でした。

 

 環境汚染には「量的」に環境の自浄作用を超える量を排出することで、汚染や破壊に繋がるものと、「質的」に環境を劣化させ、生命を損傷するものと、二種類あります。「量的」なものは面的に広がることで「可視化」され、住民運動などが起こりやすくなります。

 

 環境基準が厳しくなるにつれ、目に見える環境汚染は影を潜めました。しかし、いま課題になっているのは目に見えない「放射能汚染」「電磁波汚染」など、目に見えず、しかも、人によって被害の受け方が大きく異なる環境汚染なのです。

 

 ERICでは、いまのわたしたちの豊かな生活を支えているシステムに潜む病理を「文明病」と呼んでいます。大多数の人々の恩恵の裏側にある病理の負担は誰が負うべきなのでしょうか?

 

 人権についても、同様です。#Black Lives Matterや#Me Too 運動は、人種や性別を理由にしたこれまでの差別的抑圧的社会に対する問題提起です。1960年代に始まった公民権運動、差別撤廃運動などは、半世紀を超えても、まだまだ解決途上であるのです。

 

 「教育が人類の持続可能性の鍵である」それがESDの言わんとするところなのです。

 

 

 

「わたし」「あなた」「みんな」のスキルを実践活動に活かす

参加のスキルが身に付くことが、参加型学習の特徴であり、目指すところでもあります。ERICでは参加のスキルを「わたし」「あなた」「みんな」の三つの柱でまとめています。

 

参加型手法が育てる「参加の三つのスキル」 わたし 自尊感情・自己理解・自己表現 あなた 他尊行動・相互理解· コミュニケーション みんな コミュニティ意識・協カ・共通理解・共存

 

 

 

  ERICは、「気づきから行動へ」、Think Globally, Act Locally、以上のような問題意識から、「これまで通りを続けることはできない」「わたしたちは変わらなければならない」変革のための教育を目指して、国際理解教育そしてESDに取り組んできています。

 

 ERICの設立の時に目標とした「世界の中のコロンバス、コロンバスの中の世界」という身近なところからの国際理解があることを示したチャドウィック・アルジャーさんは、「無関心の悪循環」を立つことが、ミド金物全てが世界とつながっている現在、まずは重要であることを指摘しています。

 

 「気づきから行動へ」を目指して『ワールド・スタディーズ』のアクティビティは、世界の共通の課題に無関心から「気づき」を促していました。それらを紹介する中で、「わたし一人が何かしたって、社会は変わらない」という無力感が行動化へのバリアになることに行き当たりました。折しも、『開発のための教育』の開発者であるスーザン・ファウンテンさんも、参加のスキルは幼少時から伸ばさなければならないこと、参加のスキルは自尊感情、コミュニケーション、協力であると、『いっしょに学ぼう』というテキストを出していたのです。

 

 社会的な共通の課題への無関心を関心へ、個人的な無力感を効力感へ導くことが、参加型学習の「参加のスキル」の課題であるのです。

 

社会的関心 概念的理解 人権 価値観と認識 社会的公正 持続可能な開発 多様性 市民性 相互依存性 など 社会的無関心 無力感 スキルの習熟 自尊感情 聞く姿勢 肯定的な態度 対等で丁寧なコミュニケーション 協力 対立の扱い方 アサーション(非攻撃的で主体的な自己主張) 社会的提言 など 効力感 気づきのための アクティビティ スキルトレーニング 築きの手法 社会的合意形成の方法論 ビジョンの実現

 

 

ERICのコミュニティ課題解決のアプローチ

ERICの学びの第三期がコミュニティの課題解決です。ワークショップ、プロセス・ファシリテーターの技として、PRA Participatory Rural Appraisal 主体的参加地域評価法やフューチャーサーチ会議などがありました。
それらの方法論をまとめたのが『STEP5』であり、ワークショップで活用することができる『TOOL8』です。

 

ERICは主催研修や受託研修などによる人材育成プログラム以外に、コミュニティの課題解決の様々なプロジェクトに関わってきました。
それらのベースにあるのが「わたし」「あなた」「みんな」の三つの参加のスキルの習熟なのです。問題解決型社会、人権や環境などの課題について、前向きに問題解決に取り組むコミュニティの成長と成熟そのものが、ESDが目指すものなのです。
そして、「共に問題解決に取り組む」ためのスキルが「参加のスキル」なのです。

 

学校は、子どもたちに「コミュニティの課題解決」の実践に取り組む最も身近なコミュニティです。また、ERICでは地域社会の環境基本計画づくり、ビジョン作成など、様々なワークショップや長期間にわたるプロジェクトに関わってきました。その中でもレッスンバンクに収録しているのが以下のリストです。
 

 

レッスンバンクに収録された「コミュニティ」関連のアクティビティおよびプログラム
LB2-3 学校は...である
LB8-2 ラブカナルの住民運動
LB8-4 日本文化の◯△□
LB8-7 コミュニティと参加
LB10-12 万引きゼロ・トレランス・ポリシー
LB11-2 多文化社会の実現の場としての学校
    /学びのコミュニティづくり
LB11-14 2002年度栄光セミナー第ニ回
    「総合的な学習におけるライフスキルの指導」
LB12-3 わが町紹介 十代のコミュニティ意識を高めよう
LB12-8 いじめのある風土・ない風土 
LB12-16 ERIC主催研修2002④ 「いっしょに考えて!人権」
ファシリテーター養成講座 LB12-30 2002年度栄光セミナー第四回
    「総合的な学習」のコーディネーション能力を高める
LB12-40 プロセスファシリテーター養成のための
    モデルプログラム
LB13-16 フューチャー会議の活用方法
    ~コミュニティの行動計画づくりを進める~
LB13-17 PRA(主体的参加地域評価法)活用事例集
    ~コミュニティと共に課題を取り組もう~
LB13-23 国際交流館パネルトークシリーズ①
    わたしの町再発見-コミュニティ文化を築こう
LB13-24 国際交流館パネルトークシリーズ②
    コミュニティに「温かさ」を
LB13-30 ワークショップ・ワークショップ 
    評価の「てこ」を考える
LB14-17 ファミリー・マターズ -異文化引っ越し編
LB14-18 公共的概念とコミュニティ
LB14-33 受託事業記録 市民参加でつくる協働ガイドライン
    -足立区公園活用推進事業より
LB14-36 受託研修記録 国際交流館パネルトークシリーズ③
    いろいろな「ことば」
LB14-37 受託研修記録 国際交流館パネルトークシリーズ④
    「わたし」に出会おう
LB15-20 受託事業記録/
    千葉女性センター建設的な話し合いによるコミュニティ育て
LB15-21 受託事業記録 コミュニティ・ビジョン in 安塚
LB15-22 受託事業記録/
    新任研修 人権尊重の第一歩は人を好きになること
LB15-26 受託事業記録 コミュニティと参加
    ~プロセスファシリテーターへの道
LB16-1 「羅生門的アプローチ」で対立から学ぼう
LB16-26 2004ESDfc.byERIC⑥
    ESDのための「社会開発」講座
    -参加する・つくる持続可能なコミュニティ
LB17-17 評価の堕落と落とし穴
LB17-18 チーム・ワークス
LB18-16 個の権利・コミュニティの論理-近代の人間化
LB18-21 コミュニティ・ビジョン
LB18-25 "2005ESDfc.byERIC チャレンジコース④  
    持続可能なコミュニティ”
LB20-15 コミュニティを創るのはわたしたち
LB20-16 岬町学校評価・創考未来  プロジェクト 報告書

1989年に施行されたNPO法は、日本における市民社会組織に法的根拠を与えるものでした。 現在5万件以上の登録があり、「生涯学習社会」の諸課題の問題解決に取り組んでいます。地 域のNPOや市民団体やボランティア活動が、「コミュニティの課題解決」につながるのではないでしょうか?

 

 

めざせ 満点アドボカシー社会

 

社会変革のための社会的提言のことを「アドボカシー」と言います。「みんな」のスキルの柱の一つでもあります。一人ひとりのライフスタイルそのものも、社会的な発信であることは言うまでもありません。

 

南北問題の研究者である経済学者、テッド・トレイナーさんは、開発問題の解決のためには個別の問題解決のためのプロジェクトを行うことよりも、圧倒的多数の人々の「わたしたちは変わらなければならない」「このままでは続けられない」という意識変革が大切だと指摘します。

 

アドボカシー社会とは、一人ひとりの市民が、共通の課題に取り組み、問題解決行動をとる社会のことです。圧倒的多数の市民が、市民的行動、アドボカシーに取り組むようになる社会、それがERICの人材育成、ESDが目指すところなのです。

 


参考: 『いっしょにすすめよう! 人権』p.82より

 

 

つながろう 行動しよう リンク集
1947年の国連憲章には、市民社会団体の役割も明記されています。国連の活動を進める上で、GO政府機関、IGO政府間機関だけではなく、NGO非政府組織の活動の重要性が、認識されていたのです。
より良い社会を目指すNGOの活動は「実態調査」「記録報告広報」「意思決定への参加・提言」「モニター・評価」の4分野で行われると言われています。(国連ECOSOC)

 

以下に全国規模・地方で活動している団体のリンク先を紹介いたします。
「行動」につながるリンク先ですが、「調査研究」「提言」「実践活動」を含めて行っている団体を中心にしています。

 

1. SDGs https://www.japansdgs.net/

 

2. ESD-J ネットワーク http://www.esd-j.org/

 

3. ユネスコスクール https://www.unesco.or.jp/

 

4. NIED国際理解教育センターhttp://nied.love-hug.net/

 

5. 環境保護活動団体 主に調査・提言活動も行っている

1. グリーンピース https://www.greenpeace.org/japan/
2. JEAN  http://www.jean.jp/
3. WWF https://www.wwf.or.jp/
4. 日本自然保護協会 https://www.nacsj.or.jp/

 

6. 人権尊重運動団体 主に調査・提言活動も行っている

1. Human Rights Watch https://www.hrw.org/ja
2. ヒューライツ大阪 https://www.hurights.or.jp/japan/
3. フォーラム90 http://forum90.net/
4. アムネスティ・インターナショナル https://www.amnesty.or.jp/

 

7. 開発・海外支援団体

1. シャプラニール市民による海外協力の会 https://www.shaplaneer.org/
2. 日本国際ボランティアセンター https://www.ngo-jvc.net/
3. シャンティ国際ボランティア会 https://sva.or.jp/
4. 日本ユニセフ協会 https://www.unicef.or.jp/   

 

子どもの人権、女性・ジェンダーなど、課題のリストは伸びるばかりですが、ぜひ、子どもたちにも、実践活動をしている人のゲストトークなど、触れる機会を作りましょう。