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国際理解教育センター

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Inspect & Innovate 点検の視点とガイディングスター

 

 

 四つの手立ての中で最も「学び」と「成長」にとって重要なのが「I」です。自分たちの教育実践をふりかえる、改善する、それが指導者としての成長でもあり、プログラム改善、より良い実践への道です。その時に、ただ「ふりかえる」のではなく、何らかの目標に向かって改善する、方向性があることが、「這い回る経験主義」からの脱却に、とても重要なことです。ERICでは「点検の視点」と呼んでいます。

 

 

 

Reflective Practitioner 必携の「点検の視点」

ふりかえりは、経験学習の要です。しかし、体験する、ふりかえる、学びを紡ぎだす、応用する、という経験学習の四段階だけでは不十分なのです。「経験する」「ふりかえる」「一般化する」「応用する」は、学びを次の行動につなげるためには、自分なりの解釈、「あ、そうか」「わかった」という腑に落ちる学びが必要であるということを示しています。しかし、その「学びを紡ぎだす」時に、先行知見や概念につながる学びであることが、成長につながるのです。

 

かつてはPDS、Plan計画する、Do実行する、See評価するのサイクルと言っていましたが、PDSのサイクルは自己完結的であるのに対して、外部評価の視点が入ったPDCA、Plan計画する、Do実行する、Check点検する、Action改善行動をするという、「点検」の視点を持つことで、PDSの平面図が、一挙に、上昇するスパイラル図へと変わるのです。

 

教育において、点検の視点をESD, Education for Sustainable Developmentに置くことで、教育が、国際的、地球的な文脈に位置づけることができるのです。

 

 

 

Check the Checklists 点検の視点、総まとめ

どんな「点検の視点」があるかまとめておきます。

 


・アクティビティ・プログラム・カリキュラム評価の視点
・教育的省察、三つの視点   教育実践の場で、省察する三つの入れ子視点
・ファシリテーターの資質
・教育・教材・指導者育成にどの制度についてのガイドライン

 

 

 

ファシリテーションのふりかえりの視点

ERICのファシリテーターは、アクティビティ、プログラム、カリキュラムについて、参加型学習の実践を展開することができることを目指しています。
事前段階、準備の段階から、点検の視点は役立ちます。

 

 

アクティビティ点検の視点

 アクティビティとは学習者中心の体験学習を活用する教授学習スタイルのことです。講義形式の知識伝授型と異なり、学習者自らがなんらかの学習活動を主体的に行うものです。読む、書く、話す、などの行動を通して考える、知る、学ぶものです。
 『ワールド・スタディーズ』は、概念を発見できるアクティビティで構成されています。ERICの出版物を含め、すでに開発されたアクティビティを授業に活用することもできますが、新たなアクティビティを開発することも可能です。優れたアクティビティの点検の視点をまとめておきます。
 ERICの研修では、「何が優れたアクティビティか」を考えることも、一つのアクティビティとして指導者育成プログラムの中に取り入れています。また、アクティビティ開発も、研修プログラムに含められています。
 『環境教育指導者育成マニュアル』「第2部第5章「参加型アクティビティとは何か」研修プログラム5. 参加型アクティビティを作る」を参照してください。

 

https://drive.google.com/file/d/1HqQsU5QspbtFbgBZJo7m4rELJSDXhOkq/view?usp=sharing

 

アクティビティ検討の視点*
1. 知識や情報、準備物の入手が可能か
2. 目標内容方法が一致しているか
3. 集中、楽しさがあるか
4. 熱意を持って伝えたいことであるか (ファシリテーターとしての首尾一貫性)

 

*ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ用ハンドブックより

 

 

プログラム点検の視点

 プログラムというのは、授業時間、研修時間などの時間に合わせて、「導入・展開・まとめ」のように構成された教育内容のことです。ERICでは、およそ2時間の1セッションを構成するものをプログラムと呼んでいます。一授業時間が短い小学校などでは、「単元」を一つの流れとして構成することにあたるでしょう。
 プログラムというのは、構成することによって伝わりやすさがあります。PLT米国の環境教育プログラム『木と学ぼう』は、ストーリーラインと、このプログラムの流れを整理しています。(Appendix 3: ストーリーライン)

 

https://drive.google.com/file/d/1rhfvrqiMHZrl-O9veCq_FCTcMrHG-t7Z/view?usp=sharing

 

『環境教育指導者育成マニュアル』第2部第6章「プログラムとストーリー」 研修プログラム6. 参加型プログラムを構成する を参照してください。

 

https://drive.google.com/file/d/1Zp9Lf8u7v-RujsHbYvwODTAe5I3ZU5HO/view?usp=sharing
プログラム開発の視点*
ERICのESDファシリテーターズ・カレッジの研修では、「プログラム開発」のセッションを取り入れています。プログラム開発の視点は、以下の通りです。
1. 起承転結の流れのあるプログラムを作る
2. 気づきから行動への流れがある
3. 4つの活動形態(個人、ペア、グループ、全体)で構成されている
4. 三つの省察によって、プログラムの目標がESDに合致しているかどうかを検証する

 

*ERIC主催研修ESDファシリテーターズ・カレッジ用ハンドブックより

 

 

カリキュラム点検の視点

 教科・科目は年間計画や年次目標など、学習指導要領に示された大枠に従って構成されています。環境教育や人権教育、国際理解教育は時間枠が取られている教科とは異なり、かつまたその総合的な性格から、全ての教科カリキュラムの中に溶け込ませることが可能であり、必要なのです。

 

総合的な学習のためのカリキュラム評価の視点
『環境教育指導者育成マニュアル』に紹介されているカリキュラム評価の視点です。

 

 https://drive.google.com/file/d/1-QG0h_FXlhyYPU_mfy6j_kG4APOu-UFj/view?usp=sharing

 

スキル習熟に向けた年間カリキュラムの作成
 ここでは、さらにスキルの習熟について、年間カリキュラムの作成について点検の視点を紹介しておきます。知識伝達型カリキュラムでは、一つずつの知識習得をテストなどで確認し、評価するのですが、スキル、技能というのは、身につくまで、繰り返し習熟しなければ、「身についた」という評価にはつながりません。
 スキルを身につけるための教育的な手立て*は五つあります。
1. ジャーナルをつける
2. アクティビティを日常に取り入れる
3. 時間枠を取って、プログラムで指導する
4. 環境・風土を整える
5. 個への働きかけを行う
*『いっしょに ESD!』p.65より

 

レッスンバンク所収の「カリキュラム・ガイドライン」
LB1-10 「環境指導者育成マニュアル カリキュラムガイドライン」
LB6-5 「カリキュラム・ガイドライン 人権」
LB7-9 「カリキュラムガイドライン 国際」

 

 

 

教育実践 三つの省察

 教育者は「Reflective Practitioner 省察的実践家」でなければならないと、教師教育学のコルトハーヘン氏は指摘します。大切なことは、「ふりかえり」から「本質的な諸相」を見ることだと言います。

 

https://ericweblog.exblog.jp/11342025/

 

 本質的な諸相に至るためのふりかえりの視点として、『新しい時代の教職入門』で紹介されているヴァン・マーネン氏の「三つの省察」が有効なので、ERICの研修で取り入れています。三つの省察を入れ子状に掘り下げて、「How」「Why」「For What」と畳み掛けてふりかえることが「気づき」「発見」を促す省察となるのです。

 

https://ericweblog.exblog.jp/7042782/

 

本質的な諸相に至るためのふりかえりの視点として、『新しい時代の教職入門』で紹介されているヴァン・マーネン氏の「三つの省察」が有効なので、ERICの研修で取り入れています。三つの省察を入れ子状に掘り下げて、「How」「Why」「For What」と畳み掛けてふりかえることが「気づき」「発見」を促す省察となるのです。

 

https://ericweblog.exblog.jp/7042782/

 

「技術的省察」 How「どのように」実践しているかの背景には、その意図=Whyがある。
「実践的省察」 教育目標が達成されているかどうか。
「見通し省察」 この教育実践をESDやより大きな教育の見通しから批判的にみる。

 

  特に「技術的省察」は、具体的な行動、行為の一つひとつに、自分でも気づいていなかった意図が見出せたり、よりよく目標を達成するために新たな工夫を選択することが可能になります。

 

  ERICの研修では、三つの省察でアクティビティ、プログラムのふりかえりを行います。(「ファシリテーター・ハンドブック、p.45より)

 

「 アクティビティ実践」ふりかえりとまとめ 研修名 日付 技術的省察 How 実践的省察 Why アクティビティ名 導入 ・ねらい・流れ ・準備物 ・作業の指示 作業内容と流れ 個人作業 ペア作業 グループ作業 全体作業 ふりかえり・まとめ 気づいたこと・感じたこと・学んだこと 【見通し的省察 for What】

 

ファシリテーターの資質
 ふりかえりや点検の視点によって教育実践を向上させ、自らの成長につなげることができるには、ファシリテーター自身に、しっかりとした価値観や理念が身についている必要があります。
  ファシリテーターの資質や役割を協働的に考えるアクティビティも、ERICの研修には取り入れています。そのアクティビティからの学びを紡ぎだすときに「点検の視点」に使うことができるものもいろいろあります。
 参加型研修、アクティブ・ラーニングは、知識伝達型授業と異なり、学習者とのインタラクション、相互交流を伴います。人間関係を介しての学び合いでは、ファシリテーターの資質そのものがメッセージにもなるのです。
  教育目標やアクティビティのねらいは、熱意がなければ、伝わらないのです。

 

ファシリテーターのコア・バリュー
   誠実さ = 自分自身の統合
   相互尊重
   規範の首尾一貫性

 

 https://ericweblog.exblog.jp/240567493/

 

■参考資料
PLTファシリテーターの資質 (PLTファシリテーター・ハンドブックより)
LB 18-10 「ファシリテーター「技」の言葉」
LB 18-14 「問う力」


 

 

 

ガイドラインズ 理念、原理原則を教育的ツールに

ESDは概念の教育であると言われます。持続可能性という目標は、現在のわたしたちの社会が決して「持続可能」な経済、社会体制ではないからこそ、つまりは、「わたしたちは変わらなければならない」からこそ、立てられた目標であるのです。
 「わたしたちの社会が変わらなければならない」という認識は、1970年代には国際的にも共有されていました。1972年、ストックホルムで開催された国連人間環境会議は、それまでの「公害」問題から、「環境問題」への転換となりました。日本でも環境庁が発足、水質汚染や大気汚染などの公害問題を含むより包摂的な環境問題の解決に以来、

 

 

NAAEEの環境教育ガイドライン

北米環境教育連盟(NAAEE)は2006年に、以下の6つの視点についてのガイドラインを発表。それらのガイドラインを遵守することを宣言する学校や団体を表彰するなどの活動に生かしています。

 

1. 環境教育教材について 2. 学習について 3. 環境教育指導者の専門性の向上について 4. ノンフォーマル教育について 5. ワークブック・副読本の質について 6. 自己評価のツールについて

 

■参考資料 LB19-10 「質の高い環境教育のためのガイドラインGuidelines for Excellence」 LB20-18 「よりよい環境教育推進のためのハンドブック」

 

 

教師教育における国際的な観点 The Global Dimension in Initial Teacher Education and Training(2005)

英国の「ワールドスタディーズ・トラスト」(ERICが翻訳した『ワールド・スタディーズ』の著者団体)が、教師教育に取り入れるべき標準についてまとめた視点です。『ワールド・スタディーズ』に紹介された「10の基本概念」を精査したものだと言えるでしょう。
【『ワールド・スタディーズ』の10の基本概念】
•相互依存
•公平さ
•似ている点・異なる点
•コミュニケーション
•協力
•力の分配
•対立
•原因と影響
•社会の変化
•価値観と信念

 

国際的な視点を取り入れるための鍵となる概念
• 地球市民性 • 対立の解決 • 多様性 • 人権 • 相互依存 • 社会正義 • 持続可能な開発 • 価値観と認識

 

三つの標準

 

https://drive.google.com/file/d/1tBgpXnYorYV8oAkOEZEThHYif5ix3xcs/view?usp=sharing

 

Standard1 専門家としての価値観と実践
Standard2 知識・理解
Standard3 教授法:  計画、期待と目標 、評価とモニタリング、教授と学級管理

 

 

 

SDGs&地球憲章、そしてたくさんの国際的な約束事

 国際社会は、様々な約束事によって、共生社会の構築を目指しています。SDGsやESDの取り組みも、それらの目標や理念と軌を一にするものです。
  1992年のリオ・サミットは、多くのNGOが日本からも参加した「NGO元年」と呼ばれるような国際会議でした。市民の声を国際社会に届ける、そして「アジェンダ21」のように国際的な行動計画に合意し、それらを「ローカル・アジェンダ」として、身近な行動計画に落とし込んでいく。
  まさしく、「Think Globally, Act Locally 地球規模で考え、地域で行動する」W型運動が地球市民社会を前進させるのです。
  地球市民社会への参加のチャネルは「問題提起・意思決定・実践活動・評価/モニター」です。(『いっしょに ESD!』p.27より)
  PDCAのサイクルによって、わたしたちの地球社会は、より良い、なりたい未来へと成長できるのです。
市民社会のシステムと地球市民社会のシステム=評価と点検 地球市民社会=4つの参加 国内市民社会=三権への4つの市民参加* 立法 行政 司法 *三権が市民社会のシステムを創り、 それぞれを4つの市民参加が促進する。国際組織 国際社会のハード・ローとソフト・ロー GO 政府機関 ・法律 ・ガイドライン ・決議 ・宣言 NGO 市民団体 IGO 国家間機関 *・問題提起・意思決定  ・実践活動・評価/モニター

 

わたしたちの社会のガイディングスターたち
 
 国際的な合意・国内法など  団体  年  特徴
 世界人権宣言  国連  1948  
 人種差別撤廃条約  国連総会採択  1965  
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約  国連総会採択/発効  1966/1976  A規約、社会権
 市民的及び政治的諸権利に関する国際規約  国連総会採択/発効  1966/1976  B規約・自由権規約
 世界経済フォーラム ダボス会議はじまる    1971  
 国連人間環境会議(ストックホルム会議)  国連  1972  UNEP設立、日本では環境庁設立
 フォール委員会ユネスコ報告書『未来の学習』  ユネスコ  1972  
 ユネスコ国際教育勧告    1974  生涯を通じて学ぶ
 トビリシ宣言(環境教育について)  ユネスコ会議  1977  
 女性差別撤廃条約  国連総会  1979  
 Process of preparation of the Environmental Perspective to the Year 2000 and Beyond  国連総会決議  1983  持続可能な開発について
 Our Common Future  ブルントラント委員会  1987  
 ナチュラル・ステップ  スウェーデンの財団  1989  
 生涯学習振興法    1990  
 人権教育のための国連10年行動計画  国連総会  1994  1995-2004
 子どもの権利条約  国連採択/発効  1989/1994  
 アジェンダ21 at UNCED  国連環境と開発会議  1992  その他の国際条約も参照
 気候変動に関する国際連合枠組条約  国連環境と開発会議  1992  
 Education for Sustainability - an agenda for action  米国大統領評議会  1994  
 地球意識精神に関する宣言  ブタペストクラブ  1996  アービン・ラズロ起草
 21世紀教育国際委員会報告 『学習:秘められた宝』  ユネスコ  1996  学習の4本の柱
 子供に生きる力とゆとりを  中央教育審議会諮問  1996  
 成人学習に関するハンブルグ宣言  第五回国際成人教育会議  1997  人間中心の開発および参加型の社会
 地球憲章  リオ+5フォーラム  1997  コスタリカ平和大学に事務局
 Global Perspectives in the National Curriculum  DEA(UK)  1999  
 ヨハネスブルグ・サミット  国連  2002  日本政府がESDを提案
 Guidelines for Excellence in Environmental Education  NAAEE  2003  6種のガイドライン
 Global Perspectives in Higher Education  DEA(UK)  2003  
 Global Perspectives in Adult Learning  DEA(UK)  2003  
 環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律    2003  
 Model Program Initiative  PLT(USA)  2004  
 Global Perspectives and Teachers in Training  DEA(UK)  2004  
 Global Higher Education for Sustainability Toolkit  UNESCO  2004  
 持続可能な開発のための教育の10年  国連総会  2004  2005-2014
 Supporting the Standards-The Global Dimension in Initial Teacher Education and Training  World Studies Trust(UK)  2005  
 障害者権利条約  国連総会にて  2006  国内法2013年
 ESD実施計画(3.30) / 教育基本法 改訂 (12.15)    2006  
 『学習の本質』  OECD  2010  
 我が国における「国連持続可能な開発のための教育の10年(6.3)    2011  311を受けて
 あいちESDフォーラム 「あいち・なごや宣言」    2014  
 SDGs 持続可能な開発目標  国連総会にて  2015  2030年までに
 「わたしたちの道徳」 特別教科 道徳の始まり。    2015